2012年5月14日月曜日

チャータースクールについての考察


チャータースクールについての考察

チャータースクールについての考察

人間学類3年 川崎浩介


1:研究動機・問題の所在

今回、私がチャータースクールの歴史的意義や現状について調査を進めてきたのは、学校を中退(ドロップアウト)してしまう子どもたちの増加と、それに対する対策はどのようなものがあるのか、ということに興味を持ったからである。

チャータースクールの存在意義は、いわゆる「落ちこぼれ」と呼ばれる子どもたちを拾い上げるものから、チャーターを得て何らかの目的を持って学校を作るなど、様々なものがある。そこで、本稿ではアメリカ、とりわけアリゾナ州のチャータースクールに焦点を絞り、具体例を示しながら、歴史や問題点・改善点などを明らかにしていくことを目的とする。

なお、今回は全米でトップの数を誇るアリゾナ州に焦点を当てることにした。(数はおよそ450校)

その理由は、なぜ、ごく普通な州であるアリゾナ州が全米でもっとも数が多いのかということに興味を抱いたからである。そのため、今回はアリゾナ州についても概説していく。

2:アリゾナ州の様子

まず、人口から見ていこう。2004年現在、アリゾナ州はアメリカ合衆国統計局の見込みによると人口5,743,834人である。これは全米でも18位と中位層よりもやや上である印象を受ける。この州の人種的関係は以下のようになる:

63.8% 白人 ヒスパニック以外 25.3% ヒスパニック 5% ネイティブ・アメリカン 3.1% アフリカン・アメリカン 1.8% アジア 2.9% 混血


完璧主義(19世紀)

2003年国勢調査見込みによると、アリゾナ州はアメリカ合衆国内の州のネイティブ・アメリカンの数が2番目に多くなっている。アリゾナ州内に住むと報告される286,680人はこの国の総計インディアン系人口2,752,158人の10%以上であると指摘する。唯一カリフォルニア州はアリゾナ州よりもインディアン系が多く、アリゾナ州はオクラホマ州よりも少しインディアン系が多くなっている。アリゾナ州で最大の祖先グループはメキシコ系 (21%)、ドイツ系、イギリス系、アイルランド系、及びアメリカン・インディアン系である。この州の南部及び中央部の一部はユマ及びサンタクルス郡を除き、最大のメキシコ系アメリカ人地域となる。北部中央部及び北西部の郡はイギリス系祖先の住民が多く住んでいる。アリゾナ州の北東部は多くのアメリカン・インディアン系が暮らしている。アリゾナ州はおそくとも2035年に大多数少数派州になりそうである。2003年に、初めて、ヒスパニック以外の白人出生より州内で多くヒスパニックが出生した。

2000年現在、アリゾナ住民の5歳及びそれ以上の74.1%は自宅で英語を話し19.5%はスペイン語を話している。ナバホ語は0.6%で他の自然な北米語及び0.5%でドイツ語に続き、1.9%で3番目に多く話されている言語になる。

3:チャータースクールの概要

親や教員、地域団体などが州や学区の認可(チャーター)を受けて設ける初等中等教育学校で、公費によって運営される。州や学区の法令・規則の適用が免除されるため、独自の理念・方針に基づく教育を提供。ただし、教育的成果をチャーター交付者により定期的に評価され、一定の成果を挙げなければチャーターを取り消されることとなる。

Ex)カリフォルニア州:学区の運営委員会・教育の郡政機関(州の下位の行政区画)州そのもの
  ベンシルバニア:チャーターに基づく公立の学校を設置しようとする個人かグループが、学校が位置する地区の学校委員会に適用されること
1991年 ミネソタ州でチャータースクール設置を認める法律が成立。
1992年 全米初のチャータースクールが同州で設置される。同年、カリフォルニア州でも設置。
1993年 コロラド州・ジョージア州など6州で同様の法律が制定される。
1997年 一般教書演説(クリントン大統領による提言。2000年までにチャータースクールを全米で3,000校にまで増やすと発表)

現在、3000以上のチャータースクールが存在しており、約70万人が学習を行なっている。


どのように私は何で午前スクールゾーンを見つけるん

次にチャータースクールの背景について見ていこう。

  • 具体的には、 CSの経営の初年度の前に最大10万ドルの初期交付金を、申請があったCSに与える。 CSが、初期の交付金を受けて、18カ月以内にCSを経営し始めないなら、応募者は1年あたり10パーセントのレートで計算された初期の交付金と利息を返還する。
  • さらに初期の交付金を受けたCSは最大10万ドルの追加交付金を申し込むことも可能。 CSが、追加交付金を受けて、18カ月以内にCSを経営し始めないならば、1年あたり10パーセントのレートで計算された追加交付金と利息を返還することとなる。

以上のように、アリゾナ州では、CSを運営するにあたり、特に問題となるであろう財政面に関してのサポートが充実しており、その結果、CSの数が全米でもトップクラスなのではないかと思われる。

次に、具体例を挙げて見ていく。アリゾナ州のツーソンには95年に開校された「エッジ・チャータースクール」(Edge Charter School 以下ESCとする)がある。ここはほかの公立高校をドロップアウトし、いわゆる「Behind」落ちこぼれかかっている生徒たちを救うチャータースクールである。以下ECSについての特徴を載せる。

  • 独自のカリキュラムを学生に提供できる自由で、公共の、そして、オルタナティブ(1)の高校である。 ・学生は、1日あたり4時間学校に通うことができて、彼らの必要性に最もよく合うように朝か午後のスケジュールを選ぶことができる。
  • 公認された教師と小人数のクラスでの授業が行われ、高校の卒業証書に通じる包括的なプログラムに加え、読書、書くこと、および数学の基本的な技能コースを提供する。
  • いくつかのコースが通常のカリキュラムに加え、コンピユータ支援学習を受ける。
  • 各入学希望者は入学前にテストを受けて評価される。 読書、数学、および言語科目の平均スコアは、その生徒の学習状況や将来に向けた仕事の領域を特定するのに使用される。
  • 教師は、学生の目標設定とその目標に合ったプログラムを開発するために学生と相談を行う。 個々のプログラムは各学生のために構造化される。

    ここでいう評価とは、その生徒自身を評価して価値判断をするのではなく、その生徒に合った学習プログラムを提供していくために行われるものである。生徒一人ひとりにあった教育を行えるということがこのECSの一番の特色であると思われる。

4:問題点・改善点・まとめ


肥満職場のコスト

アリゾナ州のCSやCSを支援するシステムは一見して、充実しているように思われる。しかし、2004年度のAFTワシントンにおいて、CS設立に反対の動きもあったことは事実である。その主張は、「一般学校での少人数制の実現こそが、アメリカの子供たちの学力を底上げできる」とするものであった。アメリカでは急速にCS普及が進む一方で、未だに根強い不安や反対が残っているように思われる。

そうした点より、私は今後のチャータースクールはより様々な形で展開されるべきと考える。
また、アリゾナ州での取り組みがうまくいったのは、

  1. 充実した支援システム
  2. 米国の教育施策の転換等による教育への意識の向上

の2点が挙げられるのではないかと考える。

逆に白人やヒスパニック・黒人といった人種による学力格差でのチャータースクールの増加はあまり関連していないのではないかと考える。これまでのアメリカの教育施策においても、人種による学力差を訴えているが、アリゾナ州を例に取ってみるとそのことはあまり見えない。しかし、問題点も多く存在しており、以下のようにまとめられると思われる。


  • 公的支出の増大:チャータースクールは、一般公立学校在籍者だけでなく、私立学校生徒、中退者、ホームスクーリングの子供など、州の財政的責任の外にあった生徒を引きつけているため、州教育支出の増大要因となっているのは確かであり、チャータースクールの設置許可、監督、チャーター更新といった事務についても相応の行政経費が生じている。
  • 公的責任の在り方:チャータースクールの教育的有効性を一般校と比較するための州規模の共通教育基準と評価制度が整備されていないのが現状である。そのため、学業面の一般的教育基準だけでなく、チャータースクール特有の成果判定基準を設定しなければ、誰にどれだけの責任があるのかをはっきりさせることは難しいと言え、学校が年度途中で閉鎖された場合、行き場を失う子供が普通学校に復帰する際の人間関係等に問題があると思われる。
  • 施設の確保:新規のチャータースクール設置の場合、学習に適した学校施設の確保は大きな問題である。とりわけ、小規模なチャーター・スクールでは校舎建設は難しいため、学校施設をどう確保するかが、開校までの大きな問題となる。
  • 専門知識・技術:運営資金が少なく、小規模のチャーター・スクールでは、少数の職員が多くの業務を分担する必要に迫られる。
    また、法律、会計、保険などの専門知識や、事業として成功するための企業技術も不可欠であり、ある程度こうした分野に関する技術的支援を行っている州もあるが、チャーター・スクール成功のためには、地域の様々な団体との間に協力関係を築き、その資源、技術を共有することも重要だと考えられる。

以上より、特に財政面での補償や、カリキュラム面での充実などが必要であると思われる。


チャータースクールについて調査を進めていくことで、アメリカの教育が国主導ではなく、州が主導となっている地方分権型であることを改めて確認することができた。チャータースクールの広まりは、アメリカの教育意識の変革や、とりわけ市民の参加が顕著に現れていることは明らかである。
こうしたことから、21世紀にあるべき教育の姿と言うのは、「トップダウン」ではなく、「ボトムアップ」であるべきだと考える。


(1)オルタナティブとは、「二者択一」とも訳し、もう1つの学びの場、それを1つの学校という場所であると考えた場合、単純にこのオルタナティブスクールという言葉を直訳的に説明をすれば、「国家などに管理を受けた伝統的な教育を行う学校ではなく、独自の教育方法やプログラムによって、子どもや家庭のためにデザインされた教育を行う学校」ということになる。
このオルタナティブスクールの定義において、肝心なところは、国家の管理下にないということである。つまり、国家における教育観が反映されない学校ということとなる。この視点は、教育に関する重要な要素を数多く含む。
例えば、「教育の目的」「学力とは何か」「学ぶことの意味は何か」、そして、大きく見れば「人間観」なども関わっ� �くる。 (引用)「教育」のオルタナティブとしての「学び」の可能性についての一考察 柳下 換 
 


引用文献
アメリカ教育省HP(
US Charter Schools(
アリゾナ州教育委員会HP内CS法

Edge Charter School HP(
AFTワシントン 2004年5月24日付
ウィキペディア  2/23現在




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